ITエンジニアにとって、新しい技術を学ぶためには書籍は欠かせないものです。
そんな中、2023年も「ITエンジニア本大賞2023」の発表がありました。本記事では、技術書部門大賞やビジネス書部門大賞を受賞した本などをいくつか紹介していきます。
目次
ITエンジニア大賞とは?
ITエンジニア本大賞とは、ITエンジニアにとって役立つ書籍を選定し、その優れた書籍を表彰する賞です。
選定された書籍は、技術書、ビジネス書、教育書、一般書など多岐にわたります。各部門の大賞だけでなく特別賞などもあり、毎年多くの人が投票に参加しています。
ITエンジニアが新たな知識を得たり、スキルアップするための書籍選びの参考になる賞として、業界内で高い評価を受けています。
- ITエンジニアのみなさんによるWeb投票
- Web投票結果を集計し、技術書・ビジネス書各ベスト10の発表
- 特に投票の多かった書籍のプレゼン大会&最終投票
- 最終投票結果を集計し、大賞を決定
ITエンジニア本大賞2023の受賞作を紹介
【技術書部門大賞】良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門 保守しやすい 成長し続けるコードの書き方
ITエンジニア本大賞2023の「技術書部門大賞」を受賞した本は、仙塲大也さんの著書「良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門 保守しやすい 成長し続けるコードの書き方」でした。
本の内容は、良いコードの書き方と悪いコードの書き方を比較しながら、保守しやすく、成長し続けるコードの書き方を解説しています。コードの保守性や拡張性、再利用性などについて具体的な例を挙げながら、設計の基礎や考え方を身につけることができます。
良いコードを書くためには、コーディング技術だけでなく、設計思想やプログラムの保守性など、様々な観点を考慮する必要があります。本書を読むことでそうした観点をしっかりと理解し、良質なコードを書くための基礎を身につけることができます。
- オブジェクト指向プログラミングの基礎知識はあるが、設計に自信がない人
- より良いコードを書きたい人
- 悪いコードの改善方法を知りたい人
【ビジネス書部門大賞】メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界
ITエンジニア本大賞2023の「ビジネス書部門大賞」を受賞した本は、バーチャル美少女ねむさんの著書「メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界」でした。
本書では、近年注目度が急上昇した「メタバース」について、特に「ソーシャルVR」に焦点を当てた書籍となっています。
著者のねむ氏はバーチャルYouTuberとして活躍する一方で、メタバース文化に造詣が深く、本書でもその知見を活かして未来の仮想現実について語っています。
本書を読めば、IT技術の進化がもたらす未来について深く考えることができるだけでなく、メタバースが人々にどのような影響を与えるのかについても理解を深めることができるでしょう。
- メタバースの可能性について深く知りたい・考えたい人
- フィクションで描かれた仮想現実世界が好きな人
【特別賞】チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計
ITエンジニア本大賞2023の「特別賞」を受賞した1つ目の本は、マシュー・スケルトン氏とマニュエル・パイス氏の著書「チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計」でした。
著者のマシュー・スケルトン氏とマニュエル・パイス氏は、世界的なアジャイルコミュニティーに所属するエキスパートであり、多数のプロジェクトに携わってきました。本書ではその経験を元に、チームの構成やコミュニケーション、アーキテクチャーなど、アジャイルな組織設計に必要な要素を解説しています。
本書で注目すべきは「チームトポロジー」という概念です。これは、開発チームの構成によってソフトウェア開発におけるリスクを最小化する方法論です。
また、本書ではチームトポロジーに加えて、コミュニケーションやチームビルディングに関するアドバイスも豊富に掲載されています。これらのアドバイスは、現場の開発者が実践する上で非常に役立つものであり、本書の魅力の一つです。
- ソフトウェア開発プロセスを改善したい人
- チーム間の問題を解決し、組織の自己運営を強化したい人
【特別賞】エンジニアリングマネージャーのしごと
ITエンジニア本大賞2023の「特別賞」を受賞した2つ目の本は、James Stanie氏の著書「エンジニアリングマネージャーのしごと」でした。
本書は、エンジニアからマネージャーへのキャリアアップを考えている方や、既にマネージャーを務めている方におすすめの本です。
著者の James Stanie 氏が、エンジニアリングマネージャーとしての役割や責任、課題、成功の秘訣などについて解説しています。具体的な事例やアドバイスを交えながら、マネジメントスキルの向上に役立つ内容となっています。
- エンジニアからマネージャーへのキャリアアップを考えている人
- エンジニアリングマネージャーに必要な考え方やスキルを学びたい人
技術書部門ベスト10に選出された本
この項目では、技術書部門ベスト10に選出された本を紹介します。
※ 技術書部門大賞に選ばれた「良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門」は前段で紹介したため、それ以外の9つの本について紹介します。
ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux コマンド&シェルスクリプト基礎編
Piro氏の「ITエンジニア1年生のためのまんがでわかるLinux コマンド&シェルスクリプト基礎編」は、まんがとテキストで分かりやすくLinuxのコマンドやシェルスクリプトの基礎を学ぶことができる入門書です。
初心者でもわかりやすい構成となっており、Linuxに触れたことがない方でもスムーズに学習できます。
AWSの知識地図
本書は Amazon Web Services (AWS)の基礎知識からWeb環境構築まで、広範囲かつ体系的に解説した一冊です。
AWSに興味を持つ初心者やこれから学びたい方におすすめの本です。
競技プログラミングの鉄則 アルゴリズム力と思考力を高める77の技術
本書は、競技プログラミング初心者から上級者まで幅広く役立つ、基本から応用までを網羅した実践的なプログラミング技術書です。
プログラムの正確性や効率性に焦点を当て、問題解決に必要なアルゴリズムやデータ構造の理解に加え、実践的なアドバイスも満載です。
Googleのソフトウェアエンジニアリング
本書は、Googleが採用するソフトウェアエンジニアリングのベストプラクティスを紹介した一冊です。Googleの開発プロセスやテスト自動化など、現場で使われている具体的な手法が詳しく解説されています。
Googleのエンジニアリングに興味がある方や、自社の開発プロセスの改善に取り組んでいる方におすすめの一冊です。
Clean Craftsmanship 規律、基準、倫理
ロバート・C・マーティン氏の著書「Clean Craftsmanship 規律、基準、倫理」は、プログラマーとしての職業倫理と技術的な倫理について深く掘り下げた一冊です。ソフトウェアクラフトマンシップの観点から、正しい方法でコードを書くことの重要性や、自分自身やチームの成長を促すための規律や基準について解説しています。
また、エンジニアリングの基本に忠実なアプローチを示し、プロフェッショナルとしての誇りと責任を持つためのヒントを与えてくれます。
ソフトウェアアーキテクチャの基礎
Mark Richards氏の「ソフトウェアアーキテクチャの基礎 ―エンジニアリングに基づく体系的アプローチ」は、ソフトウェアアーキテクトを目指すエンジニアにとって、アーキテクチャ設計に必要なスキルと知識を体系的に学ぶことができる書籍です。
実践的なアプローチに基づいて、ソフトウェアアーキテクチャに関する基本的な概念や原則、パターン、ベストプラクティスなどを解説しています。
プロになるJava
きしだなおき氏の著書「プロになるJava―仕事で必要なプログラミングの知識がゼロから身につく最高の指南書」は、Javaプログラミング初心者がプロになるための道筋を示した一冊です。
初学者にもわかりやすく、基礎から応用までを網羅しており、実際に仕事で必要な技術を学ぶことができます。実践的な内容が多く、Javaプログラミングを学びたい人にはおすすめの書籍です。
プロを目指す人のためのTypeScript入門
鈴木僚太氏の「プロを目指す人のためのTypeScript入門」は、JavaScriptの仕様・機能とともに、TypeScript の基礎知識を解説した一冊です。初心者向けの基礎的な文法から、高度な型の使い方まで丁寧に解説しています。
実践的な例題も多数収録されており、安全で保守性の高いコードを書くためのノウハウが身につきます。
本質を捉えたデータ分析のための分析モデル入門
杉山聡氏の「本質を捉えたデータ分析のための分析モデル入門」は、統計モデルから深層学習、強化学習まで、データ分析における分析モデルについて徹底的に解説した書籍です。
用途・特徴から原理までを一気通貫で学べるので、データ分析初心者から上級者まで幅広い層におすすめの書籍です。
おわりに
今回ご紹介した技術書は、2023年にもっとも優れた情報を提供する本としてITエンジニアたちから支持されました。各書籍は、それぞれの専門分野で深い洞察力と先進的な知識を提供してくれます。
本書を手にとって、皆さんの技術力向上につながる一歩を踏み出していただけると幸いです。